『プロビジョナル・レストレーション』とは、簡単にいうと仮歯のことです。第一プロビ*、第二プロビがあり、第一段階目にご自身の不適合な補綴物(被せ物を外し、仮歯をきちんと構築する基盤とします』。第二プロビとは理想的な歯の形を技工士に作ってもらい、それを歯に合わせ、全体のバランスや噛み合わせのチェックをします。その場合、顎関節症や噛み合わせなどの複合的な問題も含め、口の機能をしっかりと見なおしていくことがプロビジョナル・レストレーションの大きな役割となってきます。
*プロビ…プロビジョナル・レストレーションの略
歯茎とのフィッティングを構築、見直しすることは不可欠ですが、現在の歯科診療のではこの部分が行われていないことが多く、作ったとしても本当に仮歯という意味しかなしません。
自費治療が進んでいる欧米では、仮歯の状態でしっかりと構築することの重要性が認識されており、とくに自費治療の先進国であるアメリカではこの治療は当然とされています。残念ながら日本ではこの部分の認識が薄いのが現実です。
仮歯はとても大切なものです。歯を表側から見ると歯の形、長さ、傾斜などが目につきます。歯の裏側の機能に関してはあまり触れられることがありませんが、じつは歯の噛み合わせ、歯の動き、歯ぎしりなどをした時の歯の形態は、じつは歯の裏側にその仕組みがあります。その部分に関して最終的に入れる歯の形と同じような形できちんと仮歯を作製しないと、本来の歯の動きはチェックできないと考えています。そのため本来なら最終形と同じような形の歯の仮歯をきちんと作って納め、それで機能に支障がないことを確認してから最終のものをつくるという流れが必要となってきます。
プロビジョナル・レストレーションは、聞き慣れない言葉であり、他の医院ではあまり行われていません。
一連の流れとして、仮歯を2回作ってその後に最終形を入れると、3回口の中にものが入ることになります。簡単な仮歯を入れて最終形をすぐ入れるという簡略化もできますが、口の中に不良補綴物が入っている患者様が多く、それによって噛み合わせが悪くなっている方も多いというのが現実です。
そのままの状況で終わらせるのではなくて、すべてを見直すという意味で新しい歯の機能、咬み合わせを構築しながら進めるという点では、プロビジョナル・レストレーションは必要不可欠なものと考えています。