最新のインプラント事情
従来のインプラント治療では、インプラント埋入後3ヵ月待って仮歯を入れる、補綴をするというのが主な様式でした。そして患者様にとって、歯のない状態は審美面で大きなデメリットとなっていました。しかし、ノーベルバイオケア社の商品であれば即時に仮歯を入れられ、粘膜の回復も同時に行えるので、抜歯、即時インプラント埋入、仮歯という回復過程を一度に行えます。
この治療方法は10年前から行っていますが、ここ3年ほどでその治療方法を求められる方が増加しているため、最近では即時インプラントの方法が主流となっています。しかしどのメーカーのインプラントでもできると考えているわけではなく、基本的には歴史のあるインプラントだからこそ可能なのだと考えています。
最新の情報を得るため、勉強会にも頻繁に足を運んでいます。日本では鶴見大学歯学部と日本大学松戸歯学部に籍を置き、月に一度勉強会に参加しています。海外においては年に5~6回、EAO(ヨーロッパインプラント学会)やUCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)などの勉強会に参加しています。そしてヨーロッパのインプラントを中心にグローバルな視点から見て、そこで吸収してきた知識を導入し、患者様にご提供しています。
ヨーロッパでのインプラント事情の動きはゆっくりとしたものですが失敗が少ないので、安心して使えるインプラントが多いと考えていますし、今後どのようなものが増えてくるかというところも自分の視点から見極めていくことが必要です。値段だけがすべてではなく、信頼を買うということを前提に患者様と長いお付き合いをさせていただき、患者様に喜んでいただくということが本来の歯科診療の喜びではないでしょうか。
インプラントのメリット・デメリット
他の治療と比較してのメリット・デメリット
〈ブリッジ〉
- メリット
- 自分の歯と同じように噛むことができ、違和感がありません。
- デメリット
- ブリッジを固定するため、両隣の歯を削る必要があります。
〈義歯〉
- メリット
- お口の中の型を取る程度の、比較的簡単な治療で済みます。
- デメリット
- 硬い食べ物や粘り気のある食べ物をうまく噛めないことがあり、異物感を感じる人もいます。
〈インプラント〉
- メリット
- 自分の歯に近い構造で、自分の歯と同じように噛むことができ、見た目もきれいです。
- デメリット
- インプラント埋入のための手術が必要です。保険適用ではないので費用がかかります。
当クリニックで埋入することのメリット
多くの患者様がインプラントを何本埋入するかということに重点を置きやすいのですが、私が一番大切にしているのは、このままでは悪くなってしまうという歯もあるが、インプラントの活用によって残せる歯もある、というメリットを患者様に理解していただくことです。天然の歯とインプラントとを可能な限り区別することでケアがしやすく、抜かずに済んだ歯で噛めるという喜びを感じられるのです。
デメリットをメリットに変えるために
費用を気にされる患者様が多いのですが、残せる歯が使えなくなってインプラントにする場合、今よりさらに費用がかかってしまいます。そのデメリットを考えると、現段階できちんとインプラント治療を行い、使える歯を長期間使う方が費用を抑えることができるのです。
そして長期的にお口の健康を考える際、全体の咬合、噛み合わせのバランス、フォースコントロール(力のコントロール)などが重要になってくるのですが、私はフォースコントロールが番大切だと考えています。
インプラント、補綴、矯正すべてに共通して言えるのは、お口の中を見たとき、すべてのことに関心や知識をもっている歯科医でないと、長期的な視野に立って患者様のメンテナンスを行うことは困難だとうことです。私には25年以上治療経験がありますが、常に全体的な視点から見て治療をするということに重点を置いています。
インプラントQ&A
- Q
- 治療に年齢制限はありますか?
- A
- 最低16歳以上(骨の成長がほぼ終了している)で、医学的・解剖学的に条件が満たされている限り、どなたでもインプラント治療を受けることができます。年齢の上限はありません。
- Q
- 歯槽膿漏でも治療を受けられますか?
- A
- 歯槽膿漏の方はお口の中の衛生状態が悪い場合が多く、そのままではインプラントを埋入することはできません。治療や正しい歯磨きを身につけて歯槽膿漏を治し、それからインプラントを埋入します。
- Q
- 糖尿病でも治療を受けられますか?
- A
- 医師の指導のもとに十分コントロールされていれば大丈夫ですが、状態によってはインプラント手術ができない場合もあります。必ず詳しい病状をお伝えください。
- Q
- 以前の自分の歯と同じように噛むことはできますか?
- A
- インプラントは顎の骨としっかりと結合して丈夫な土台となるので、ほとんどの物がしっかりと噛めます。
- Q
- インプラントは何本埋入すればいいのですか? 多い方がいいのですか?
- A
- 抜けた歯1本に対して必ずしも1本のインプラントを入れる必要はありません。また、顎の骨の状態によっては入れることができない場合もあります。
ポイントは、「残せる歯を残したうえで何本埋入するか」ということです。残せる歯はきちんと根の治療をして残し、うまく噛めずに他の歯にも悪影響を及ぼすようであれば、抜歯してインプラント治療につなげるというように、うまく全体のバランスをとって噛めるようにすることが大切です。
- Q
- 手術は痛いですか? 腫れますか?
- A
- 麻酔医による鎮静麻酔のもとで手術を行うので、痛みは感じません。処置時間はだいたい30~120分ほどです。ただし、麻酔がきれてからは傷口の痛みがまったくないわけではありません。術後1~2日痛みや腫れが出る場合がありますが、通常すぐに治まります。
- Q
- 全身麻酔で手術できますか?
- A
- どうしても手術が不安な人や広範囲に多くのインプラントを埋入する場合や、極度の難症例や特殊な手術の場合には全身麻酔下で行うこともあります。全身麻酔の場合は、提携する大学病院や総合病院の手術室でインプラント手術を行います。
- Q
- 手術の際には入院が必要ですか?
- A
- ごく限られた特別な場合以外は入院の必要はありません。しかし、普通のインプラント手術でも術後2~3日は安静にする必要があります。
- Q
- 手術後の注意は?
- A
- 腫れている間(1~2日)は感染しやすい期間です。食事もしづらくなります。硬いものを避け、ジュースやスープなどの流動食にしてください。翌日くらいまで多少出血が続きますが、強くうがいはしないでください。また、大きく口を開けたり、笑ったりするのも避けましょう。薬は指示通りにきちんと服用してください。手術当日は歯磨きをせず、その後は歯科医の指示に従いましょう。
- Q
- インプラントの治療期間はどのくらいかかりますか?
- A
- インプラントの種類や人にもよりますが、一般的に顎の骨に入れたインプラントが周りの骨と結合するのに6~24週間かかります。その後、上部構造を入れるための期間がかかる場合と、すぐに入れられる場合があります。 ITIインプラントの場合は術後数週間で上部構造を入れることができます(※骨の状態など、いろいろな条件が良好な場合に限ります)。
- Q
- 治療の間、歯がないままなのですか?
- A
- 仮歯や仮の入れ歯を入れておきます。見た目も食事をするのにも問題はありません。
- Q
- インプラントはどのくらいもちますか?
- A
- インプラントはチタン製でとても丈夫ですので、何か問題が起こらなければ半永久的に機能します。しかし歯磨きが十分にできず、インプラントの周りに歯垢が付着した状態にしていると、天然歯と同様に歯槽膿漏のような状態になり、インプラントの周りの骨が痩せてグラグラ動いてしまいます。このようになったインプラントは抜くしかありません。インプラントを長持ちさせるためには、毎日しっかりと歯磨きをし、必ず定期検診を受けてチェックと指導をしてもらう必要があります。
- Q
- 治療の成功率はどのくらいですか?
- A
- 成功率を分析するために複数の病院で1003人の患者様に計2359本のインプラントを入れ、8年間にわたって追跡調査した文献報告では、90%以上がまったく何の問題もなく機能し続けています。
また、当クリニックでの成功率は95%となっています。残りの5%は何らかの理由でインプラントがつかなかった症例ですが、当クリニックでは、『リカバリー』といって患者様が嫌でなければ2回目のインプラント治療に必ず対応させていただき、それはすべて成功しています。
- Q
- 治療費はどのくらいかかりますか?
- A
- インプラント治療は保険外診療ですので、診察を含めて保険は適用されません。使用するインプラントの本数や種類、上に装着する人工歯の種類、症例の難易度によって費用は異なります。