難症例の治療方法として『サイナスリフト(上顎洞拳上術)』『ソケットリフト』『GBR』『ベニアグラフト』などがあります。
上顎奥歯の骨の厚みが3mm以下と不足している場合に、人工骨と自家骨を移植して骨の高さを出す方法です。手術は2度に分けて行います。1度目は上顎洞を骨で挙上するだけなので、手術時間は30分程度で済み、痛みも最小限に抑えられます。2度目は半年後のインプラント埋入です。
当クリニックでは、他院でインプラント治療を断られた患者様でも治療させていただきます。以前、上顎洞に骨が1 mmしかないという状態のため、2年以上他院様で放置されてきた患者様がいらっしゃいました。半年で治せると言ったら「そんなに短いのか」と驚かれましたが、実際に半年後にはきちんと噛めるようになりました。3ヵ月ごとにメンテナンスをしているため、その方はとても満足され、「もっと早く来ればよかった」とおっしゃっていました。
残っている歯が少ない場合は、大体の場合、骨を増やして腫れることなく骨造成ができ、インプラントを1~2本埋入できるソケットリフトという方法で治療を行います。2~3本しか歯が残っておらず、ほぼ歯がなくなった状態や骨が1~2mmしか残っていない場合は、骨補填というより骨造成してきちんと土台を作ってからインプラントを埋入します。治療期間は6ヵ月ほどかかりますが、治療後は他の方法と変わらない結果となっています。
上下の骨の吸収、歯の揺れなどが激しく、とても噛むことのできない状態のところにインプラントを埋入します。その後、骨の欠損部に移植骨や人工骨を置き、メンブレンと呼ばれる人工膜で覆い、骨の再生をはかります。
骨が薄くなっている方は、インプラントが植立されても審美的な完成度が低くなってしまいます。それでも噛めればいいという方であれば別ですが、やはり審美的にも完璧に治したいという方にはベニアで骨移植をしてきちんと回復する方がよいでしょう。
ベニアグラフトは審美治療を兼ねた治療方法であり、最近ではこの方法を希望される患者様が増えています。しかし、インプラントを埋入するポジションや骨の厚みに関しての診立てがとても難しく、審美的にきちんと治すには熟練の技が必要です。単純に骨を足せばいいというわけではなく、CTなどの機材でシミュレーションして、元あるべき歯の場所、インプラントのポジション・長さ・太さがきちんと把握できて、初めてベニアグラフトができると考えています。そのなかでも一番デリケートな粘膜、その上に乗る上皮がどのように治っていくかを患者様が想定できるようにご説明し、リスクもきちんと説明します。その際、症例写真をお見せしながら、「このようなタイプであればこのように治る」と具体的に説明し、満足していただけるのであればその方法で治療を行います。
ここ10年、審美的な治療の要求は年々高まり、インプラントか天然歯かすぐに判断できないようなレベルまで治せるようになってきています。しかしそれは、頻繁に勉強会などに参加して治療内容の変化などをきちんと理解している歯科医でないと不可能です。ただインプラント治療ができるという歯科医院で、審美的な部分には対応できないと言われ、当クリニックに来院される方も増えています。
以上が当クリニックで行っているインプラント手術の方法です。そしてこれらに関して、年に1回ほどより低侵襲で手術を行なえる新しい機材が出ています。出費を厭わず最新のものを導入することによって、より低侵襲で痛みが出ない治療法に変えていくことを心がけています。