矯正治療を受けていただく場合、お子様から大人の方まで治療に適正な年齢があります。
お子様の矯正治療適齢期は、8~9歳、15~17歳と2段階に分けて考えています。
骨格の基盤ができるのは6~8歳のときです。その時期に骨を拡大し、歯がきれいに並ぶための条件を整えるということを念頭に置くことが大切です。
15~17歳になると歯根完成期(根の先端の発育が完了した段階)となります。なるべく歯に負担をかけないために、1年半~2年で矯正を終えるようにしています。
矯正期間は、6~8歳のお子様の場合、早い方だと急速拡大装置で2週間ほど、長い方でも1ヵ月半ぐらいで終了します。
矯正治療を行うにあたり、一般的に歯を移動させるスペースが足りないと便宜的抜歯(4番の歯を抜くこと)をする傾向があります。しかし骨にそのスペースをきちんと作っておけば、非抜歯で治療できます。つまり、すぐに抜歯しようとせず、非抜歯の可能性を含めCTをはじめさまざまな測定器を使用し、その診断結果に基づいて慎重に考える必要があるのです。
それには理由があります。大人の歯は28本しかないにもかかわらず、便宜的抜歯で4本も抜いてしまったら、必然的に歯は24本になってしまいます。『8020運動』で80歳まで20本もたせるとなると、4本しか失うことができないため、早い段階で歯を失うべきではないのです。28本の歯できちんと噛めた方が、問題は起こりにくくなります。
クリニックでは極力抜歯しない矯正治療を心がけています。歯の大きさ、顎の形、顔貌を見ながら治療しますが、一般的に抜歯が必要だと思われる症例でも、場合によっては抜歯せず、エナメル質を少量削って歯の大きさを調整します。
歯が大きくて顎が小さい方の場合、抜歯せずに28本の歯をきちんと整えてならべると、審美性も後から備わってくるということがあります。
年齢を問わず、悪い歯並びでは歯と歯が重なっている症例が多く、その隙間に食べ物が挟まって周りが虫歯になってしまう、という状態をよく見ます。たとえば3本の歯が重なっている場合、それぞれの歯が虫歯になっていることがあるため、3本すべての歯を治療する必要があります。
クリニックは、矯正治療のみ対応する医院とは異なり、矯正治療中の虫歯治療も行います。
虫歯があっても、矯正治療によって虫歯治療ができるスペースが空くので、クリニックでは極力少量だけ削るようにして虫歯の治療をしています。それと同時に歯並びも良くするということを前提に矯正治療を行なっています。
歯並びが悪いと虫歯になりやすくなります。歯並びの良い方ではブラッシングは2分程度で済みますが、歯並びの悪い方はブラッシング以外にフロスや歯間ブラシを使いましょう。年齢にかかわらず、磨きにくい部分を丁寧に磨くには必要な器具が多いということです。「若いからブラッシングだけでいい」と考えている歯並びの悪い方は、虫歯が増える率が高くなるので注意が必要です。
歯は、もともと生えていた場所に戻ろうとします。矯正治療後、後戻りする可能性があります。
後戻りを防ぐために、保定装置をきちんと装着し、定期検診を受けましょう。